人材を育成し、かつチームワーク力を高めて仕事に取り組んでいくために、意思決定や行動規範などを伝達するものや、モチベーションやパフォーマンスを向上させるものなどさまざまな手法のマネジメントが存在します。本記事ではマネジメントの基本的な知識と仕事上でのポイントを解説します。
マネジメントとは
マネジメントは、日本語で「経営」や「管理」を指します。広義に捉えると、組織で成果を上げるための「道具・機能・機関」です。つまり、ただ業務や従業員を管理し統率するだけでなく、企業がより成果を生み出し発展させていくためにどのように働きかけていくべきかを追求するものなのです。
組織が利益を追求する上で、目標達成は非常に重要なことです。社員がその目標に向かって進めるように十分なマネジメントを行っていく必要があります。ただ、マネジメントと一口に言ってもさまざまな手法があり、それぞれの状況や場面に適したものを見極めて活用していかなければなりません。
マネジメントの手法
ここではタイプ別にマネジメントの手法をピックアップし、対象者と概略をご紹介します。まずはそれぞれの特徴を押さえておいてください。
階層関連の手法
階層関連の手法は、大きく分けて3つです。「トップマネジメント」は、経営者層向けの管理手法で経営計画を立て、会社が目指す方向を定めることを目的とします。経営者として会社の向かうべき姿を見据えて組織を引っ張っていくリーダーシップが必要とされます。
「ミドルマネジメント」は、中間管理職が行う管理手法です。部長や課長などが主な対象で、トップマネジメントを行う経営者層の意思決定を、部下を始め社員に伝え、適した方向に進んでいくためのサポートを行います。経営陣と現場の中間に立って、両者をつなぐ役割を担う重要なポジションです。
「ロワーマネジメント」は、中間管理職の下に位置する現場のリーダーやマネージャー、係長クラスが対象で、経営計画を末端にまで伝え、現場が目標に向かって実際に働きかけていけるように指揮します。実際に仕事するメンバーとの距離が近いため、相互の信頼を保つこともポイントとなります。
組織運営関連の手法
組織運営に関する手法について3つ挙げます。いずれも対象は該当の業務に携わるすべての従業員・メンバーです。まず、「チームマネジメント」とは、目標に向かってチーム一丸で進めていけるように、管理職や現場リーダーが働きかけていくことです。チーム全体のモチベーションを上げることは、ひいては生産性向上にも寄与します。
「プロジェクトマネジメント」は、そのプロジェクトをどのように達成していくのかといった計画・立案から、実際に走り出した中でスケジュールの管理やメンバーの管理を行うものです。納期やコスト面も考慮しながら、品質や付加価値を付けるために調整していきます。
「ナレッジマネジメント」とは、個々人が持つ技術や知識、情報などをチーム全体に共有することを指します。全体に共有することで組織の持つスキルを最大化でき、チーム全体での生産性向上や、新たな価値の創造につながるメリットがあります。
人材管理関連の手法
人材管理についての手法は下記の3つです。「タレントマネジメント」とは、優秀な人材が対象で、スキルを適切に把握し人事や育成に役立てていく方法です。優秀な人材を適切なポジションに配置することで、パフォーマンスの最大化を目指します。
「モチベーションマネジメント」は、従業員が対象で、目標に向かってどのように行動するかの「動機付け」を行った上で、実際の行動を促すものです。動機付けには、個々のメンバーが持つ興味や関心に紐づける内発的動機付けと、報酬や昇進など達成感に結びつく外発的動機付けがあります。高い意欲を持ちながら仕事できるように手助けする意義があります。
「パフォーマンスマネジメント」は、従業員が対象で、人事部門や管理職が一人ひとりの行動を見守り目標に向かって進めているかを適宜フィードバックしていく手法です。結果に至るまでのプロセスを重要視することで、仕事へのモチベーションを保持させる効果が期待できます。
メンタルヘルス関連の手法
メンタルヘルスに関するマネジメントも登場しています。これらは組織に属するどの社員・メンバーも対象で、実施する企業が多いストレスチェックなどもマネジメントの一環なのです。
「メンタルヘルスマネジメント」とは、心の健康管理を行うものです。昨今課題となっている精神的な不調による離職や休職を防ぐために、カウンセラー等を交えて不調につながる要素がないかを確認します。
「ストレスマネジメント」は、業務や家庭などにおけるストレスを適切に解消するための手法です。ストレスを溜め続けると、メンタルが不調となるリスクが上がり、業務にも多大な影響を与えます。ストレスと上手く付き合いつつ、適切に解消しながら業務に遂行するための手法と言えます。
「アンガーマネジメント」は、その名のとおり「怒り(アンガー)」を管理します。イライラしたり怒りの感情が芽生えたりした際に、自分の感情をコントロールできるようにすることを目的としています。円滑なコミュニケーションや従業員の孤立を防ぐ観点から近年重要視されています。
マネジメントの仕事上でのポイント
マネジメントを効果的に行うために、仕事上で押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここでは4つの視点から解説していきます。
情報の共有を心がける
経営資源の1つでもある情報は、企業にとって非常に価値の高いものであり、上手に活用できなければ経営にも影響を及ぼすものです。そのため、どのような情報でも共有できる環境づくりを行う必要があります。
従業員に対して小さな情報でも報告・連絡・相談するように促すことももちろんですが、組織で情報を共有しやすい仕組みを整えることも重要となります。細かい情報がリアルタイムで共有できれば、それぞれの業務をより迅速に進めることができ、さらにミスを防止することにもつながるでしょう。
現場に寄り過ぎない
業務における課題を浮き彫りにし改善へと導くためにも、現場の声に耳を傾けることは大切です。しかしその声だけをもとにして動くことはよい効果を生み出さない場合があります。
組織として目標を達成するためには、長期的な視野を持って臨まなければなりません。そのため中立的、俯瞰的、多角的と言った視点を持った上で、現場の声を反映するべきかの判断をしていく必要があります。現場の声を聞く機会の多い現場リーダーや主任などの立場では経営目標をきちんと嚙み砕き、現場の声に逐一振り回されないようにする姿勢も持っておかなければなりません。
多様化への対応を意識する
グローバル化や働き方改革による働き方の多様化など、時代の流れに合わせて変化していることが多々あります。多様化する価値観の存在を意識し、業務を遂行する上でどのように落とし込んでいくのかを常に考えておかなければなりません。
また、昨今の人手不足を補うために外国人労働者の受け入れやシニア層の従業員を雇うケースも多く見られます。マネジメントする側の意識醸成も重要ですが、従業員・メンバー同士が多様性を意識し、コミュニケーションの重要性を理解できるように促すマネジメントも必要となってくるでしょう。
ツールを活用する
業務においては一般的に何かしらのツールを活用しています。ツールを活用することは業務の円滑化や品質の画一化、コミュニケーションの活性化などさまざまなメリットをもたらしています。例えば、SFA(営業支援)ツールを活用すれば営業プロセスの明確化や案件の効率的な管理が可能となります。
同様に、マネジメントにおいてもツールの活用は大きな意味をもたらします。マネジメントのプロセスを効率的に進められるだけでなく、可視化することでより効果的な働きかけができたり、人材育成に必要な情報の蓄積が行えたりします。
まとめ
マネジメントは従業員を管理することだけではなく、企業が定めた経営目標を達成できるようにさまざまな立場や観点から行動できる環境を整えていくことを目的としています。組織のチームワーク力を高めるチームマネジメントや怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントなど幅広い手法があります。これらを遂行するためには情報共有や多様化への理解に加え、円滑に進めるためのツールも重要な役割も持ちます。
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