プロジェクト管理における代表的な手法を紹介

 2022.10.04  ワークマネジメント オンライン編集部

プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトを適切に管理しなければなりません。プロジェクト管理にはさまざまな手法があるため、管理するプロジェクトの目的に応じて適した管理手法を選び、使用する必要があります。この記事では、プロジェクト管理に役立つ管理手法の種類や、その特徴を解説します。

プロジェクト管理における代表的な手法を紹介

プロジェクト管理の手法を知る意味

プロジェクトを成功させるには、製品の品質や予算、スケジュールなどの「QCD」の目的を達成する必要があります。プロジェクト管理は、プロジェクトの進捗状況やリソースを把握・管理して、目的達成に向けた円滑な計画進行を行うために欠かせないものです。

ひと口にプロジェクト管理といっても、さまざまな管理手法があります。プロジェクトの全体像や進捗状況が把握でき、コスト管理をはじめリスクやその対応策の策定、関係者の情報共有にも役立つことから、プロジェクト成功のためには管理手法の種類や特徴を押さえ、最適な手法を取り入れることが重要です。

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プロジェクト管理における代表的な手法

プロジェクト管理における代表的な手法としては、WBSガントチャートPERT、CCPMなどがあります。以下では、プロジェクト管理を効果的に行える管理手法について、それぞれの特徴をご紹介します。

WBS

WBS(Work Breakdown Structure)は、「作業分解構成図」とも呼ばれるプロジェクト管理手法です。WBSではプロジェクト全体を細かいタスクまで分解してから、ツリー状の構成図を作成します。それにより、プロジェクト全体を細かいタスクまで把握し、プロジェクト進行にかかる時間や予算を計算できます。

WBSではプロジェクト全体の把握や、タスク・作業と担当者についての洗い出しをするため、問題のある作業がないか確認することが可能です。プロジェクトを時間軸で把握しにくいデメリットもありますが、ほかの手法と組み合わせて活用すると、よりプロジェクトを管理しやすくなります。ガントチャートの前段階としてよく用いられる点も特徴です。

ガントチャート

ガントチャートは、タスクごとのスケジュールを棒グラフで表す手法です。プロジェクトをタスクごとに分けてから、縦軸にタスク、横軸に時間をそれぞれ配置した表に、タスクの内容や開始・終了日を書き込みます。ガントチャートを使用するとタスク別のスケジュールが時系列でまとめられるため、全体の流れや進捗状況の可視化が可能です。

タスクごとの進捗状況やタスクの優先度などが把握できる、メンバー間での情報共有がしやすい、スケジュール調整が楽に行えるなどのメリットがあります。複数のタスクでスケジュール管理を容易に行えるため、長期間の大規模なプロジェクトの管理に適した手法です。

PERT

PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、もとはアメリカ海軍で用いられていた工程管理手法です。プロジェクト内のタスク・作業の関係性を図で表し、タスクの処理順や期間、依存関係などを可視化する際に使用します。PERTでプロジェクトの流れを明確にできると、各タスクのプロジェクトメンバーが情報を共有しやすくなり、タスクの遅延などの問題が生じても連携を取りながらスムーズにプロジェクトを進められます。

PERT図ではタスクをボックスで書き出して、関係のあるタスク同士を矢印で結んでいきます。タスクを洗い出し、それぞれの関係性を明確にすると、プロジェクトのなかで最も重要なクリティカルパスを可視化できます。タスクの遅延などが生じても、並行して進められる作業を見つけてスケジュール調整に役立てられます。

CCPM

CCPM(Critical Chain Project Management)は、プロジェクトの各タスクにおいて作業時間やコストをギリギリまで削って見積もり、プロジェクトに余裕を持たせる管理手法です。個々のタスクで時間やコストが削られているため、プロジェクト全体のスケジュールは余裕のある状態になっています。

作業工程における時間や予算をギリギリで設定することで、スケジュール通りにタスクが進んだ場合には、余裕がある分をトラブルが発生した場合の対応に回せます。あえて短い作業時間を設定しておく必要がありますが、短期間のプロジェクトではもともと余裕がないため、この手法はあまり活用できません。したがって、長期間のプロジェクト管理によく活用されます。

P2M

P2M(Project&Program Management)は、プログラム管理の考えを取り入れた管理手法です。プロジェクト管理とプログラム管理の考え方を統合した手法として、2001年に経済産業省の委託事業であるエンジニアリング振興協会により開発されました。

プログラム管理とは、複数のプロジェクトを全体的に把握しながら、個々のプロジェクトを管理・調整する方法です。主に個別のプロジェクトの制御を行いながらプロジェクト全体を管理する手法であるため、個別のプロジェクトが大型化・複雑化している場合に適しています。

PPM

PPM(Project Portfolio Management)は、進行中の複数のプロジェクトをまとめて一括管理する管理手法です。組織内のプロジェクトを個々のプロジェクトとして考えず、組織全体のプロジェクトの一部分として管理し、それぞれにリソースを配分します。

PPMでは、市場占有率と市場成長率の2つの軸から作られたフレームワーム上でプロジェクトを分類し、どれだけリソースを配分するか判断します。プロジェクトを、市場成長率が低いけれど占有率は高い「金のなる木」、市場成長率・占有率がどちらも高い「花形」、市場成長率が高く占有率は低い「問題児」、市場成長率・占有率がどちらも低い「負け犬」の4種類に分類して、リソースの配分を決定します。成長が望める「花形」にはリソースを多く配分しますが、削減できる分類のリソースは営業効率を高めたり、余剰資金をほかに配分したりするなどの工夫が必要です。

QFD

QFD(Quality Function Deployment)は、1978年に日本の製造業で製造工程を管理するために作られたプロジェクト管理手法で、「品質機能展開」とも呼ばれています。顧客の要望を見える化して技術設計側に伝え、顧客のニーズや期待に応える製品を製造するために活用されます。

QFDは顧客の信頼性展開や技術展開、コスト展開、営業展開などさまざまな方法に活用でき、多方面におけるマネジメントが可能です。新製品開発の段階においては、顧客の要求をデータ化して情報を整理してから、要求に対し必要な技術を明確にする必要があります。そのため、顧客の要求をまとめた「要求品質展開」と、要求対応のために必要な技術特性をまとめた「品質特性展開」から「品質表」を作成し、顧客の要求を開発側に伝えて製品の設計・開発を進めていきます。

PMBOK

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクト管理の教本とも呼ばれています。管理手法のひとつというよりも、プロジェクト管理に関する知識がまとめられた書籍のことです。

PMBOKでは、プロジェクトを10の知識エリア(統合管理、スコープ管理、スケジュール管理、コスト管理、品質管理、組織管理、コミュニケーション管理、リスク管理、調達管理、ステークホルダー管理)と、5つのプロセス(立ち上げ、計画、実行、監視・管理、終結)に分割して管理するといった概念が提唱されています。

プロジェクト管理を行う際の基準として、管理の際にやるべきチェックリストとしても活用されています。なお、PMBOKはノウハウや知識として重要視されていますが、プロジェクト管理に活用できる実践的なものではありません。

ウォーターフォール

ウォーターフォールは、システム開発で使用されるプロジェクト管理手法です。システム開発の工程を上流工程から順番に進めていく手法で、最初にシステムの仕様や必要な機能などを決定する要件定義を行い、次に設計、開発といった工程でプロジェクトを進行させます。

詳細に計画を立ててから開発を行うウォーターフォールでは、製品品質を維持しやすいメリットがあります。プロジェクト全体の流れが把握しやすいため、長期間のプロジェクトでの使用に適しています。一方、プロジェクトに変更が生じた場合、変更や後戻りがしにくいというデメリットもあります。

アジャイル

アジャイルもシステム開発の手法として知られる、近年のトレンドとなっている管理手法です。「Agile」が「素早い」を意味する通り、プロジェクトを小さな単位で区切り、各単位を短い期間で管理するのが特徴です。近年のプロジェクトをイテレーション(1~数週間ほどの短期間)に分割して、実装とテストを繰り返しながら管理していきます。

小単位ごとに開発を進めていけるため、従来よりも開発期間が大幅に短縮されるメリットがあります。また、アジャイルではあらかじめ詳細な計画を立てる必要がないため、変更が発生したときにも柔軟な対応が可能です。一方、計画が詳細に立てられていない点、プロジェクト内でそれぞれのメンバーが短期間の開発を進めている点などから、プロジェクト全体の進捗状況などを把握しにくいデメリットもあります。

まとめ

プロジェクトを成功させるには、プロジェクトの全体像から小さなタスク、作業工程まで把握し、適切に管理することが重要です。プロジェクト管理手法を用いると、「QCD」の目的達成に向けた管理を効率的に行えます。タスク管理やコミュニケーションツールなど、さまざまな機能が活用できるワークマネジメントツール「Asana」を利用することで、より円滑なプロジェクト管理が実現できるため、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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