企業が考えたい社員のモチベーションを高める方法とは

 2021.09.13  2024.12.02

どれだけテクノロジーが発展しても、ビジネスの土台は人間関係であり、企業にとって人的資源の有効活用は非常に重要な経営課題といえます。そこで重要となるのが、従業員のモチベーション管理です。本記事では、モチベーションという概念について解説するとともに、従業員の業務に対する姿勢や意欲を高める具体的な施策をご紹介します。

企業が考えたい社員のモチベーションを高める方法とは

モチベーションとは

「モチベーション(motivation)」とは、直訳すると「動機」を意味する言葉であり、日本では「やる気」や「意欲」などと表現されます。ビジネスシーンでは、業務に対する姿勢や意欲といったニュアンスで用いられる言葉です。芸術分野において創作活動の動機となる題材や思想を意味する「モチーフ(motive)」が語源とされます。

企業とは、製品やサービスの創出を通じて社会に価値を提供し、その見返りとして対価を得て発展していく組織です。そして、組織としての健全な成長と発展を通して社会に貢献することが、企業の存在意義といえるでしょう。そんな企業の成長と発展を支えているのが、企業に属する従業員です。企業が発展していくためには、優れた人材を確保し、従業員の能力を存分に発揮できる労働環境の整備が求められます。

マズローの欲求5段階説

従業員のモチベーション管理を実施するうえで、「マズローの欲求5段階説」は避けて通れない重要な理論です。「人はパンのみにて生くるものに非ず」という言葉があるように、従業員は金銭的報酬のみを目的として働いているわけではありません。米国の心理学者アブラハム・マズローは、人間は自己実現に向かって絶えず成長するものであると仮定し、マズローの欲求5段階説を理論化しました。この理論は、人間には5段階の欲求があり、低次の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動を表しています。

マズローの欲求5段階説

  1. 生理的欲求(Physiological needs)
  2. 安全欲求(Safety needs)
  3. 社会的欲求(Social needs)
  4. 承認欲求(Esteem needs)
  5. 自己実現欲求(Self-actualization)

「生理的欲求」は、食欲や睡眠欲といった本能的かつ最も低次の欲求です。これが満たされると、次に安心や安全を求める「安全欲求」が生まれます。ここまでが、いわゆる「衣・食・住」を求める人間としての根源的な欲求です。

衣・食・住が満たされると、次は「仲間が欲しい」という欲求が芽生え、これを「社会的欲求」または「親和欲求」と呼びます。日本のような近代国家では、多くの人が家族や学校、あるいは会社といったコミュニティに属しています。そのため、社会的欲求までは満たされている人が多い傾向にあるものの、それ以上の高次の欲求が満たされている人は多くありません。

コミュニティに属した人間は、次に「認められたい」「尊重されたい」という「承認欲求」が芽生えます。SNSがこれほどまでに流行しているのも、多くの人が承認を求めるがゆえといえるでしょう。

そして、ここまでの欲求が満たされると、最後に「自分にしかできない何かを成し遂げたい」という「自己実現欲求」が生まれます。人間はこの自己実現欲求を満たそうとするとき、最大のモチベーションを発揮するといわれています。従業員のモチベーションを向上させるためには、どの階層に属しているかを把握し、その階層に応じた施策を実施することが重要です。

モチベーションの種類

モチベーションには、大きく分けて「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類があります。これら2つの概念は、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めるうえで欠かせない重要な要素です。

外発的動機付けとは、報酬の獲得や罰則の回避といった外部要因によるモチベーションを指します。一方で内発的動機付けとは、物事を追求したいという純粋な好奇心や探究心など、自身の内面から沸き起こるモチベーションです。

外発的動機付けは「報酬を与える」といったプラス要因だけでなく、「罰を与える」というマイナス要因によっても動機付けられるため、非常に強力かつ即効性があり、短期的に成果を上げたい場合に有効な施策です。しかし、マズローの欲求5段階説でいえば比較的低次の欲求に該当するため、受動的かつ依存的であり、長期的なモチベーション向上は期待できません。対して内発的動機付けは、自身の内側から湧き出るモチベーションであり、自己実現欲求に非常に近いため、主体的かつ自律的なアクションが期待できます。

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モチベーションが下がる主な要因

従業員のモチベーションを高める施策も大切ですが、労働意欲を削いでしまう要因の排除も同じく重要です。従業員のモチベーション低下を招く主な要因としては、「組織内の人間関係に悩みがある」「公平な人事評価制度が整備されていない」「残業が多く、長時間労働が常態化している」などが挙げられます。従業のモチベーションを高く保つためには、こうした労働意欲の低下を招く要因を排除し、適切な労働環境を整備しなくてはなりません。

従業員のモチベーションを上げるメリット

従業員のモチベーションを高める最大のメリットとして、労働生産性の向上が挙げられます。「労働生産性」とは、従業員1人当たりが生み出す成果を数値化したもので、「産出量÷労働投入量(従業員数×労働時間)」という数式で表せます。従業員の労働意欲が増すことで業務効率が高まり、より少ない労働投入量で多くの産出量を創出できるようになるため、労働生産性の向上につながります。

また、労働意欲の高まりはエンゲージメント向上につながり、明るくオープンな労働環境が構築されるメリットもあります。職場の雰囲気が明るくなれば、社内コミュニケーションが活発化し、安心して自分の意見をいえるようになり、新しいアイデアが生まれやすい環境が整備されます。

そのほか、従業員一人ひとりのモチベーションが高まることで離職率の改善に寄与し、優秀な人材の確保や組織力の強化といったメリットも得られるでしょう。

従業員のモチベーションを向上させる4つの施策

ここからは、従業員のモチベーションを向上させる具体的な施策について見ていきましょう。従業員の業務に対する姿勢や意欲を高めるうえで、とくに重要となる施策は「働きやすい環境作り」「人事評価制度の見直し」「明確な目標設定」「ワークバランスの充実」の4つです。

働きやすい環境作り

従業員のモチベーション向上を図るうえで、働きやすい環境作りは欠かせない施策といえます。職場の人間関係や上司とのコミュニケーションに問題が生じているようであれば、モチベーションの向上は望めません。従業員が挑戦しやすい労働環境を作り、内発的動機付けによって自ら主体的に行動できるオープンかつフラットな体制の整備が求められます。

人事評価制度の見直し

適切な人事評価制度を構築できれば、昇給や昇進といった外発的動機付け以外にも、やりがいや達成感といった内的動機付けを生み出しやすい労働環境を構築できます。組織というコミュニティに属する従業員は、すでに社会的欲求が満たされているため、次は上司からの承認や顧客からの感謝といった承認欲求が生じます。新しい時代に即した公平かつ公正な人事評価制度を整備することで、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。

明確な目標設定

ビジネスシーンのみならず学問や競技においても、モチベーションを高く保つためには明確な目標設定が必要です。企業として明確な目標がなければ、従業員は具体的なアクションプランを把握できず、何を努力すればよいのかわかりません。経営層が従業員へ向けて明確な経営理念や経営ビジョンを示すことで、同じ方向に向かう一体感が生まれます。

ワークバランスの充実

長時間労働や休日出勤が常態化している企業では、生理的欲求や安全欲求が満たされず、当然モチベーションの向上は望めません。日本人は気質的に勤労意識が高く、私生活を犠牲にしてでも業務に取り組むことが美徳とされてきました。しかし、そのような時代は終焉を迎えつつあり、現代では仕事と生活の調和のとれた労働環境が求められています。リモートワークやフレックスタイム制の導入、出産・育児に関する支援制度の充実など、従業員のライフスタイルに合わせた働き方を用意する必要があるでしょう。

まとめ

現代はAIやIoTによる技術革新「第四次産業革命」の過渡期といわれており、業務の省人化および自動化が進みつつあります。しかし、ビジネスの土台にあるのはやはり人間関係であり、企業の業績向上を図るためには、従業員のモチベーション管理が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、ワークマネジメントツール「Asana」の導入です。Asanaは組織の経営データを統合管理するソリューションで、セキュアなファイル共有機能やタスク管理機能を備えています。労働環境を整備し、組織力を強化するためにも、Asanaの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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生産性向上のためのたった5つの施策

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