ビジネスプロセスモデリング(BPM)とは?基礎から手法まで解説!

 2021.12.23  2023.03.30

自社の各業務プロセスを可視化する手段のひとつとして、「ビジネスプロセスモデリング(BPM)」があります。これは記号などを用いて、各業務フロー図をわかりやすく作成する手法です。本記事では、BPMの概要や流れ、メリット、注意点などを解説するとともに、BPMでよく用いられる表記法「BPMN」についても併せてご紹介します。

ビジネスプロセスモデリング(BPM)とは?基礎から手法まで解説!

ビジネスプロセスモデリング(BPM)とは

「ビジネスプロセスモデリング(Business process modeling:BPM)」とは、図形を用いたワークフロー図の作成を通して、各業務プロセスをモデル化することをいいます。業務の流れや進め方、ルートの分岐などを可視化することで、社内の各業務プロセスとそれぞれのつながりが明確になります。

なお、BPMといえば一般的には「ビジネスプロセスマネジメント(Business Process Management)」を指すことが多いので、混同しないように注意してください。ビジネスプロセスマネジメントは、企業の各業務プロセスをモデル化したうえで、継続的に最適化を繰り返し、企業価値向上につなげる手法です。ビジネスプロセスマネジメントの一手段として、ビジネスプロセスモデリングがあると考えればわかりやすいでしょう。

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BPM の基本形「BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)」とは

「BPMN(Business Process Model Notation)」はビジネスプロセスの表記法のひとつで、中立の立場からIT関連の世界標準を推進する団体「OMG(Object Management Group)」によって、国際的な標準化が進められている手法です。

BPMNでは、「〇」「→」などの記号を用いて業務フローを図式化するため、誰もが直感的にわかりやすいというメリットがあります。部門を横断した共通言語としての役割を果たしてくれるでしょう。そのままシステム設計・開発に用いることも可能なので、実装までの期間短縮にもつながります。

場合によっては、設計と実装の間に生まれるギャップを小さくとどめるため、「BPEL」というシステム部門仕様のビジネスプロセス実行言語と組み合わせて用いられることもあります。

BPMNの3つのモデリングレベル

BPMNには、目的に応じた3つのモデリングレベルがあります。

レベル1は「記述モデル」と呼ばれるもので、業務プロセスと各タスクを可視化します。主に企画や現状の把握を行うために用いられます。

レベル2の「分析モデル」では、イレギュラーで起こるタスクまで可視化します。新しいシステムを導入するかどうか、費用対効果も含めて判断する段階で、人が行う作業とシステムによって行われる作業も切り分けていきます。

最後のレベル3は「実行可能モデル」で、新しいシステムの導入~運用にあたって用いられます。

そのほかのモデリング手法

国際的な標準化は進んでいませんが、BPMN以外にも表記法はいくつか存在します。以下では、BPMN以外の主な表記法をご紹介します。

産能大方式

産業能率研究所が開発したとされるモデリング表記法です。ルールが細かく、システム設計にシームレスに用いられないというデメリットがあるものの、製造業などの複雑な業務フローを可視化するうえで有用なケースも存在します。

EPC(イベント駆動型プロセスチェーン)

「SAP R/3」などの基幹システムで使われる、ビジネスプロセスモデリングのフローチャートのひとつです。業務プロセスを論理的に分析し、効率化を図るため改善すべき箇所を特定するときに用いられます。

タスクが発生するきっかけとなる「イベント」、イベントがトリガーとなって実行されるタスク・アクションを表す「ファンクション」、ファンクションを実行する担当者、ファンクションに必要な情報、プロセス間のつながりを表す「プロセスパス」などの要素でつくられます。

SAP R/3などの基幹システム処理機能を表現するためのモデルとして提案され、現在ではMicrosoft社が提供するOfficeの作図アプリケーション「Visio」でも、EPC図のテンプレートが用意されています。

AD(アクティビティ図)

業務プロセスを視覚化することで、プロセスを明確化・最適化するために使われるモデリング表記法です。アクティビティ(行動)の開始、条件分岐・統合、終了などを定められた図形を使って図式化することで、たとえば「ユーザーがオンラインで商品を注文~決済を行うまでの流れ」などが一目でわかるようになります。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)

「EA」とは、経営資源を構造化したデザイン図のようなものを指します。EAが盛んだった2004年頃は、主に経営戦略にITを絡めた全体最適化のため作成されていました。しかし、クラウドが普及した現在では、ERPシステム(基幹システム)を導入して効果的に運用するために、企業活動全体をモデル化する目的でのEA作成が主流となっています。

業務プロセスやモノ・ヒト・カネ・サービス、ITシステム、必要であれば技術基盤も可視化することで、企業活動の全体像を把握できます。

ビジネスプロセスをモデリングする手順

ここでは、ビジネスプロセスをモデリングする手順についてご説明します。

まず、ビジネスプロセスをモデリングする目的をはっきりとさせましょう。例としては、「新しい基幹システムを効率的に運用するため、各部門の業務を可視化する」などが挙げられます。併せて、BPMNなどのルールを全社的に共有する必要もあります。

続いて、各業務プロセスにおけるアクションやタスクを洗い出し、担当部門・担当者を明確にしましょう。そして、各タスクを発生する順番に応じてつなぎ、それぞれの詳細を記載します。

ビジネスプロセスをモデリングする際のポイント

以下では、ビジネスプロセスをモデリングする際のポイントをご紹介します。

開始と終了を明確にする

発生するタスクやアクション、担当部門・担当者などをはっきりとさせるため、それぞれの業務フローの開始と終了を明確にすることが大切です。開始時点が複数あったり、終了時点があやふやだったりすると、全体の流れを把握しにくくなるおそれがあります。

処理の流れを複雑にしすぎない

業務フローが複雑になると、その業務の全体像をつかみにくくなります。業務フロー図がわかりづらいと感じた場合は、図ではなく業務フローそのものが煩雑化している可能性があります。業務フローの簡略化・最適化を図るのがよいでしょう。

また、フローの途中に複雑な条件分岐などがある場合、そこだけを抽出して別のフロー図として作成するのもひとつの手です。

条件分岐の条件と分岐先を明確にする

何らかの選択が発生し、それによってタスク・アクションが変わる場合(条件分岐)、BPMNでは「◇(ひし形)」を用います。ルールに則った記号を使い、分岐する条件も明確にしておくことで、誰もがわかりやすい業務フロー図の作成が可能です。分岐ルートが交差すると見づらくなるので、その場合は図形の配置を工夫するなどして対処しましょう。

ビジネスプロセスモデリングを行うメリット

BPMNなどを使って業務フローを作成するメリットとしては、まず「誰が見ても意味が通じる」ことが挙げられます。標準化されたBPMNなどで作成された業務フロー図は、記号の意味を知らなくても文字を追うだけで理解できるため、組織間の意思疎通の円滑化に寄与します。書き換えも容易なので、自社を取り巻く変化にも柔軟に対応できるでしょう。

また、各業務フローを可視化することで、フローのどこに強みがあり、どこを改善すべきかなどが把握しやすくなります。そのため、業務改善や企業の価値向上につなげるうえでも有用です。

まとめ

ビジネスプロセスモデリング(BPM)は、BPMNなどの表記法を使って業務フロー図を作成することです。各業務プロセスを可視化することで、スムーズかつ全社的な意思疎通の実現につながるほか、フローのどこにボトルネックがあり、どこに強みがあるのかなども把握しやすくなります。

BPMには一定のルールこそありますが、ワークマネジメントツール「Asana」を用いれば、業務フロー図の作成はさほど難しくありません。Asanaは発生するタスクに合わせて、簡単にファイルにアクセスできる機能なども備えているので、より利便性の高い業務フロー図を作成できるでしょう。

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