「Asanaミートアップ:製品責任者が語る、Asanaの今とこれから」が2024年5月16日(木)に東京で開催されました。Asana で製品部門長を務める Alex Hood氏 が、Asanaの製品開発や今後のロードマップ、そして未来のビジョンについて語った本イベントの模様をレポートします。
Asanaのミッション:世界のチームが容易に協力し合えるようにし、人々の豊かな未来に貢献する
Asanaでは「Asana のミッションは、世界のチームが容易に協力しあえるようにし、人類の豊かな未来に貢献することです。」ということを使命に掲げています。大きな問題をより簡単に解決したいという願いのもとにグローバルに展開しています。
従来は「チーム」というのは人間のみを表すものでしたが、現代では人間とAIがともに働くケースも増えてきたため、チームにはAIも人間も含まれていると考えています。
Asanaの製品開発に対する基本的な考え方とは
Asanaが製品を開発するコンセプトとして、「プロダクトビジョン」を掲げています。Alex Hoodと共同設立者がアイデアを立ち上げ、どのような製品を作っていくのかを考えることに加えて、ユーザーからのフィードバックを集めてプロダクト作りを進めています。
Asanaが大切にしている3つの軸
Asanaでは、「透明性と説明責任の向上」「インパクトの最大化」「大規模展開でも安心」の3つの軸をもとに今後の開発ロードマップを作成しています。
透明性と説明責任の向上
Asanaを活用することでチームワークを向上し、ユーザー企業の業績目標につなげるために、透明性と説明責任を確保することを重視しています。
目標を設定して実現性を確保する
仕事の優先度に合わせて目標をマッピングし、つながりを強化することで「仕事を組織の目標に結びつける」ことを目指しています。また、Asanaではさまざまな形で目標をカスタマイズできるため、正確かつ透明性の高い目標を追跡できます。
「Asanaゴール機能」では、組織に最適化されたスマートゴールを簡単に作成可能です。トラッキングもしやすく、自動的に測定されるため、進捗度をリアルタイムで把握できます。
意思決定のスピードを向上させる
意思決定のスピードを向上させるために、ポートフォリオをPDFやメール、パワーポイントなど任意の形式でエクスポートして最新情報を手軽に共有します。
レポーティングに関しても機能改善を行っていて、レポート作成者の負担がより軽くなるような設計を心がけています。
例えば、レポートを見せる相手は上司や取締役などの上層部が多いのですが、簡潔で見やすく、データ的にも役に立つレポートを作成できます。ポートフォリオからデータを引き出して、いかに効率よく見せるかという取り組みを行っています。
AIを搭載したスマートレポート機能では、自然言語で話しかけるだけで、インサイトをチャートやグラフなどの形で素早く入手することが可能です。
チームが重要な仕事に集中できるようにする
キャパシティ計画を使い、プロジェクトの人員を効果的かつ効率的に配置できます。リソースマネジメントの機能により、人材などの社内のさまざまなキャパシティをプロジェクトに割り当てる際のプランニングに活かすことが可能です。
例えば、1人のメンバーに負荷が大きくかかりすぎていた場合には、バランスを変更してより良いプロジェクトマネジメントができるよう整えられます。
目標設定・計画・実行の一連のサイクルを、Asanaだけで実行できるのも強みです。
インパクトを最大化
「ビジネスとして中身が充実していても、業績成果につながらなければならない」という考え方から、ビジネスインパクトを最大化させることにも重点を置いています。
チームとツールをつなげる
AsanaはMicrosoftとの相性が非常によく、OutlookやTeamsと連携して利用できます。今後もこの方向性を維持していきたい考えを持っており、MicrosoftとAsanaが手を組み合ってユーザーのサポートをするというイメージで開発を進めています。
具体的な例としては、Outlookに搭載されているカレンダーを、Asanaのルールを適用して簡単に管理できる機能を開発しています。
また、Teams内で作成しているさまざまなプロジェクトも、Asanaと連携することでシームレスな管理が可能です。
ワークフローを自動化する
AsanaはSalesforceとのデータ連携にも対応しています。
クライアントから問い合わせがあった際にSalesforceから関連する情報を引き出したり、対応が完了した後にSalesforceに情報を差し戻したりと、双方向のやり取りができます。
大企業にはさまざまな部門がある中で、「仕事をよりシンプルに簡素化して行う」ことが叶います。
大規模展開でも安心
Asanaは大規模展開が自在にできるよう、プライバシーとセキュリティを確保した上で容易な導入が叶う環境を提供しています。
プライバシーとセキュリティを確保する
ユーザーの貴重なデータを預かるため、高いセキュリティを確保して運用しています。関連した認証取得も行っており、大企業のユーザーにも安心してお使いいただける環境を用意しています。
また、データの閲覧権限も細かく設定でき、プロジェクト単位ではなく、もっと細密化した形で届けられるように工夫しているのも特徴です。
容易な導入
オンボーディングに関しても力を入れており、Asanaを利用するのが初めてのユーザーも、Asanaのメンバーの中で誰とどのようなコラボレーションをすれば良いのかすぐにわかるように、初回アクセス時にウェルカムスクリーンを用意するような配慮もしています。
Asanaのチームメンバーがどのような対応をしているのかがユーザーによくわかるようなオンボーディングも、カスタマイズ可能な形でお届けしています。
AI活用によるプラットフォーム強化もミッションのひとつ
Asanaは、AI技術を活用してさらにプラットフォームを強化することもミッションの1つとしており、特に、「コパイロット」というアプローチを取り入れています。
コパイロットは、プロジェクト管理の各フェーズにおいて業務を補佐し、ユーザーサポートを強化する役割を果たします。全体のプロジェクト進行状況を監視し、効率的な運用を実現しつつ、それぞれの仕事が衝突し合わないようにコントロールできる点が強みです。
コパイロットを活用することで、個々のメンバーが自分の目標を達成するために必要な具体的なステップを明確にし、チーム全体の目標達成に貢献することが可能となります。
例えば「次はどのような仕事にフォーカスすれば良いでしょうか?」などの質問をユーザーからコパイロットに投げかけるだけで、次に取りかかるべきベストな行動についてのアドバイスを得られるといったイメージです。
Alex氏へのQ&Aセッション
講演終了後には、Alex氏と参加者との間で質疑応答が行われました。質疑応答セッションのモデレーターは、ユーザー代表としてProdotto合同会社代表/経営アドバイザーの萩原 雅裕氏(Asanaアンバサダー / フォーラムリーダー)が務めました。ここでは、当日の質疑応答の内容を簡単にご紹介します。
Asana 製品部門長 Alex Hood氏
Prodotto合同会社代表/経営アドバイザー 萩原 雅裕氏(Asanaアンバサダー / フォーラムリーダー)
Q.Alexや他のAsana幹部たちは実際に自社製品を使って業務を行っている?
Alex:少なくとも私自身でいえば、1日中、全てにおいて使いながら仕事を進めています。
私は製品部門を統括しているため、まず企業としての目標があります。続いて、プロダクト部門としての目標がありまして、さらに社内にある50個のプログラムチームがそれぞれ戦略を持っていますので、Asanaを使うことでそれらの情報を俯瞰的に観察して効率的に情報を得ています。
その中で問題を発見したり、もう少しスピードアップできそうな箇所を発見したりした場合に、チームに対してコメントをするような使い方をしています。
Q.Asanaは他製品に比べてユーザー視点が強い設計思想だと感じるが、意図的なものか?
Alex:ユーザー視点での柔軟性は意図的に保つようにしています。なぜそこを重視しているのかというと、「誰もが使いたいと思ってくださるようなシステム」を作ることが大切だと思っていて、より使いやすいシステムにしたいという気持ちがあるからです。
みなさんがぜひ使いたいと思ってくださるようなものを作ることが、結果的に仕事の効率を高めると感じています。
プロジェクトマネージャーだけがAsanaの利用を推進しようということになると、結局、そのデータを整理するために1人だけが苦労して、現場の方はあまり使わないということが起こりがちです。現場の一人ひとりが「このツール、使うのすごく楽しいね」と思ってくださると、1人だけが苦労して、他の人はほとんど使わない、ということを避けられます。
そのためには、例えばタスクを完了した時のデザイン的な画面の楽しさなども非常に役立つと思っています。些細なことに思えるかもしれませんが、そこが大切なことだと思って取り組んでいます。
Q.Asanaでは「一つ一つの仕事が会社のゴールに結びついているか?」ということを大切にしているが、この発想はどこから着想を得ているのか?
Alex:「仕事をする」ということを考えた時に、労働者一人ひとりには2つの権利があると思っております。1つが目的意識です。なぜ私はその仕事をしているんだろう、という目的意識を持てることは、働くみなさんの権利だと思っています。
どうして仕事をすることが重要なのか、この仕事を達成できた時にどういった成果がもたらされるのかを理解できるということは、仕事をする誰もが持つべき権利だというふうにも思っています。
もう1つの権利としては、目的を達成するために最高のツールを持つということです。
自分が次にどういったアクションを起こせばいいのか、その行動にどういった責任が伴うのかということや、進捗状況がどのような状態にあるのかをリアルタイムで知ることができる。これも、働く人々にとってもう1つの重要な権利だと思っています。
その2つを提供するために、「この仕事のゴールはどこにあるのか」という質問をAsana側から投げかけながら、プロダクト開発を進めています。
Q.任意のデータを復元できる機能を実装する予定はある?
Alex:現時点では、履歴を確認したり、期日を間違えて変更してしまった場合に修正したりする機能を実装する予定はありません。
Asanaでは、「どの企業内のメンバーがどの機能を使うことができるか」「どのボタンをクリックできるか」といった、権限付与の部分を細かくコントロールできるように設計しています。
このような設計によって、権限を持たない方が誤って個別のデータを変更してしまうといったトラブルを防止しています。このような設計思想があるので、ユーザー側が任意のデータを復元できる機能というのは実装を考えていないという背景です。
タスクの中で何が起きたのかは、トラッキング機能もありますので、監査方式でたどっていただけると良いかと思います。または、ルール設定をしていただきますと、例えば期日が変更された時や、重要なプロジェクトに対して変更がかかった時に、管理者にメールが通知される設定を組んでいただくことができますので、ご活用いただくのも方法の1つです。
Q.今後、iPadなどモバイルデバイス向けの機能を拡張する予定はある?
Alex:近年では、iPhoneやiPadのようなモバイルデバイスはスピーディーな一次対応の手段として位置づけていて、何か問題があった時に通知を確認して、特定の部分に対応が必要だということを把握するための「通知の入り口」として捉える時代に入っております。
そのため、Asanaのモバイルデバイス向けの機能としては、あくまでも通知をメインにした機能に特化していて、本格的な機能はラップトップ(PC)で行っていただく形を想定しています。
企業としての目標を考えたり、数ページにわたるプロジェクト概要を書いたり、企業戦略を練ったりするヘビーワークについては、ラップトップ(PC)をお使いの方が非常に多いのが現状であると認識しています。
Q.顧客からの大量の機能追加リクエストや製品改善フィードバックについて、優先順位をどのように設定しているのか?
Alex:Asanaに関しては、みなさんからいただくリクエスト、ご要望、それぞれが構成要素のブロックみたいなものだと捉えていただくとわかりやすいと思います。
例えばユーザーがブロックのおもちゃを作る時に、Asanaが小さなピースを提供しているイメージですね。ユーザーが最終的に達成したいことがある時に、Asanaとして教えていただきたい情報は、「機能に関する詳細な情報」ではなく、「なぜその機能が必要なのか」をご説明いただきたいんです。
ビジネスの目標に何が結びついているのかをお話しいただくと、Asanaとしても納得の上、ユーザーのみなさんが求めるものを提供する方向に動きやすいです。
Q.今考えている中で、最もホットなトピックは?
Alex:例えばミーティングのスケジュールを設定したり、タスク管理を行ったりするような、一般的にはあまり面白くはないと考えられがちなお仕事を、AIを活用してより効率化することを考えています。
Asanaでも開発中の機能で、プロジェクトのトラブル報告なども、AIを使ってある程度自動化できる機能をリリース予定です。
Alex氏によるAsanaの製品開発や今後のロードマップ、そして未来のビジョンについて語られたセッションを通じて、Asana利用でこれからの業務効率化がますます高まり、より一層仕事に集中できるイメージが湧いてきました。
また、Alex氏の話もあったように、AsanaではAI機能「AI Intelligence」が活用されています。すでにAsanaのトップユーザー500社のうち、98%がAsanaのAI機能を利用しています。AI機能のフル活用でプロジェクトやタスク管理が手軽になり、重要な仕事に専念できます。
気になる方はぜひ一度「Asanaクイックデモ会」にご参加ください。無駄な仕事や過剰なホウレンソウに費やす時間を削減し、より付加価値の高い仕事に当てる時間を生み出せるようになりましょう!
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